2011/07/26

躁鬱的アメリカ

アメリカでは570万人が現在、躁鬱病患者であると言われている。この激しい高揚感と著しい鬱状態を交互に繰り返す病気は、酷い場合には日常生活を破綻させる。


そもそも、アメリカは精神病者が町中をそこら中で彷徨っている。医療費が高くて通院出来ないのと、患者数が多い割には精神疾患に関する入院施設が少ない事で町中を彷徨う事しか出来ないのだ。こういった人たちは日常生活を維持するのも困難であり、独立意識の高いアメリカでは家族の繋がりも薄いから手助けもあまり無い。
アメリカの医療制度はほぼ破綻しており、クレジットによる自己破産の半数以上が高額の医療費を支払う事が出来なく自己破産の申請に至り、アメリカの半数以上の人がまた、医療保険にすら加入していない。オバマは医療改革をしようと躍起になっているが、税金が高くなり、金ばかり払い医療保険の恩恵を受けれない中流家庭は冷ややかな目で見ているのが現実だ。
病院に行くならば異様な光景を目撃する事になる。病院の中は凄いコントラストである。ほぼ、金持ちとホームレスしかいない。幾らでも金を払う事の出来る金持ちと医療費が無料のホームレスや子持ちの極貧家庭、これらの人しか医療をまともに受ける事が出来ないそれが、アメリカの現実である。

ともあれ、車を持っていない私は町中を歩くしか無い訳だ。ニューヨーク、ロサンゼルス都市部、学生街、繁華街、観光地以外で歩いているのは、大抵は変だ。まぁ近所の人が散歩や運動をしている場合もあるが、おおよそ何か、変である。この国土の広いアメリカで移動を徒歩でするのは、相当貧しいか、何らかの理由で免許を取り上げられた人たちである可能性が高い。そんなこともあり、歩いていると変なものに出会う。(私もその中の一人だが。)


例えば昨日は、歩いていると、前から大きな黒人男性が歩いて来た。歩道はとても広かったので避けたり、譲り合う必要も無く、普通に歩いてすれ違おうとした。すると、すれ違い様にその男性は大きな声でこちらに向かって「Don't bump me !」と叫んだ。私はビッくとして、反射的に「What's !?」と大きな声で言った。だが、その男は私の声に驚いたみたいで震えながら地面に踞っている。訳が分からないと思いながら、「Are you OK ? What's up sir ?」と言ったらば、また「Don't bump me !Don't bump me !」、「Hyaaaaaaaa!」と叫んでどっか走り去っていった。というか、正直こっちの方が怖いしと思ったが、まぁ何事も無くてよかった。

其れはさておき、
現在、躁鬱の事は双極性障害と言われる。英語でBipolar Disorderという。bipolarが(二つの)両極 と言う意味だ。
この両極性、双極性、bipolarでアメリカは満ちていると感じる事がある。
それに精神疾患が社会に呼応するものだとしたら、躁鬱病の発生が多いアメリカではそう言った土壌が日常的あると言う事の一端あり、現れではないかと考えている。

風景の事を一つ見てもそうだ。大都市の賑わいから、車を数キロ走らせれば地平線の見える何も無い大地が広がっている。上記に記した病院についてもそうだが、風景にしてもコントラストが激しい。

このようなコントラスト、光と影、成功かどん底か、みたいな両極端な光景が人々を躁鬱へと向かわせるのかもしれない。

この国を観察するのは中々楽しそうだ。

2011/07/02

Odd Nerdrum/オッド・ネルドル/北欧の憂鬱。




誰をモデルにし、どの絵を参考にしたか、上記の画集を見ると深く分析されている。バロック様式を如何に現代的表現にて描かれているか照査に分析されている。





                                                      google images


  このノルウェーの彼に興味を示すのは、その視覚に訴えかける悲劇性や技術的な事も興味を引くが、何よりもその北欧独特の暗さを絵から感じ取るからだ。その暗さは単なる悲劇ではなく、民族的悲劇なのかもしれない。

 彼の描画される空間は、昼なのか、夜なのか、判然としない。しかし、北欧の白夜や極夜などを思い浮かべるならば、その判然としない作品世界が生み出される下地が理解される。人間生活は太陽と共にあり、人間の精神状態も太陽と関係している事は現代で明らかになっている。日照率と鬱病の発生率を題材とした論文も多数ある。そのような地理的条件により生み出されるムードというものがある。彼の作品からは北欧の憂鬱とでも言うべき重いものを感じるのです。