この作品との出会いは大学生の時だった。友達に紹介され、大学の映像資料で見たのが最初だった。友達はおもしろいSF映画だからとテンション高めに薦めてきたのだが、あいにく僕はSFは好きではなく、あまり興味はなかった。でも、感想を聞かせてと友達に言われていたので嫌々見たのでした。
映像資料室で見た瞬間に友達に感謝しました。そして僕は、「ヤバい、ヤバい」と他の人の目も気に留めず連呼していました。
まず衝撃を受けたのが全編スチールカットであった事です。僕は写真をやっている事も有りかなりの衝撃でした。1962年にこんな前衛的な事をしている事に悔しさすら覚えました。監督のクリス・マルケルは写真家でもあるので一カットのクオリティが非常に高いのです。
それでは、パソコンの中で写真を観るときスライドショーみたいな物かと思われてしまうかもしれませんが、それとも違うのです。
その当時、写真をスライドショーの様にするのにもパソコンは当然ありませんでした。だからプリントして完成された焼きの写真をまた、映像のカメラで撮影してやったうえで映像化していました。
その手法だと、映写機の60分の1秒の回転で送られるフィルムの揺らめきが写真に投影されます。その揺らめき、ブレが人の写真の時に顕著ですが、写真が生きているかの様に見せるのです。写真と映像との中間という何とも言えない世界観があります。
映画を通してあるのは記憶というテーマであり、映画の多くの部分は追憶の中で展開されていきます。この記憶というテーマが観る物にノスタルジックな想いにさせてくれます。SFでありながらノスタルジックという不思議な映画です。
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