2011/06/04

被災地にて[4]

避難所から何時かは仮設住宅へと移り住む事になるわけですが、一部地域では仮設住宅が出来ており引っ越しが始まっております。その引っ越しをお手伝いさせていただいたことがあります。
移り住むのに優先順位みたいなものがありました。やはり、子供とお年寄りのいる世帯が優先順位が高くなります。私がお手伝いしたご家族も子供とお年寄りのいる世帯がほとんどでした。
結果的にその子供とお年寄りのいる世帯となると人数は結構多い事になります。お手伝いした所は8人もの人が居る世帯でした。その時は避難所から荷物を仮設住宅へと運ぶ段取りで引っ越しをしました。避難所で荷物を受け取りましたが8人分ですので、布団や洋服だけでいっぱいになりハイエースの車で2往復ぐらいでした。引っ越しと言ってもやはり、皆さんはあまり家財道具や家電製品はありませんでした。それでも仮設住宅へ荷物を移すと8人分もの布団と荷物は多く、足のやり場に困る感じになりました。8人で2DKの環境でこれから2年は住むことを事を考えると複雑な心境になりました。緊急の処置だから、仕方の無い事かもしれないが家族の形はそれぞれある訳です。2DK一律にすると、家族の多い人には狭すぎるし、逆に一人世帯だったら広すぎるかもしれない。何処を見て平等にするのか、其れが課題になってくると思います。



別の世帯の引っ越し時は避難所にある荷物の運搬と津波被害にあった住宅からの荷物の運搬がありました。その住宅からの荷物の運び出しは中々、困難が伴いました。荷物の運び出しの前日に雨が降っており、屋根が無くなっていたその家は雨水を防ぐ手段はなく、ほとんどの家財道具は水気を含んでいました。やはり、水気を含むとどうしても重くなるので一つ箪笥を動かすのにも一苦労でした。そして、何よりも大変なのは汚れです。仮設住宅に持っていくのには当然、綺麗にしなければなりません。だけれども、其れを処理する施設も無いですし、それをボランティアがやるにしても人数が足りません。だから、どうしても仮設住宅の前に山積みにして被災者自身が少しづつ綺麗にしてくのが現状です。
仮設住宅は町屋の様に一続きになっています。目寸ですが、一世帯の玄関側から見た幅は約4メートル有るか無いかです。玄関の前から別棟までも約4メートルぐらいそのエリアに車が通れるスペースを確保しながら家財道具を山積みにしなければなりません。被害状況というのは一様ではありません。ですから、全く荷物すらない人もいる訳です。だから、共有スペースに荷物を置く訳ですし、皆に配慮した行動をしてトラブルが無い様にしなければなりません。何をするのにも皆さん気苦労が絶えません。



被災地を見ていて考えていた事があります。それはこの大きい被害が東京や大阪などの都市で起きた時、東北の人たちの様に立派な行動が出来るのだろうか?と。
都市に住んでいると、隣の人の顔も知らない事もよくあります。知らないもの同士が寄り集まっているカオスみたいなもので、何か問題が起きればただの烏合の衆になる可能性があります。都市は便利で快適で、煩わしい人間関係も取らない様に、合理的に生活しようと思えば好きな様に出来る訳です。でもそれは、同時に脆弱な地盤の上に生活している事を意味しています。スーパーで買いだめに走っていた光景を思い出すとやはり、不安を感じます。

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